• 更新日 : 2023年7月5日

クレジットカード決済で領収書が必要!利用伝票で代用できる?発行されない時の対処法

クレジットカード決済で領収書が必要!利用伝票で代用できる?発行されない時の対処法

クレジットカードで決済すると、クレジットカードの「利用伝票」を発行してもらうことができます。

利用伝票は、事業者が確定申告する際に領収書の代わりとなることもあります。しかし、税法上で認められる領収書とするには要件があり、これを満たさなければ税法上の領収書として認められません。

この記事では、クレジットカードの利用伝票についてやその扱い方、領収書との関係などを解説します。

経費精算の際にクレジットカード決済の領収書は必要?

Webでのネットショッピングやホテルの宿泊代など、社内で経費精算を行う場合は原則として領収書が必要です。領収書がないと「いつ」「どこで」「いくら」経費を使用したのかが証明できないからです。

しかしクレジットカードで決済を行った場合は、領収書が発行されない場合もあります。そのような場合はクレジットカードの「利用伝票」を領収書として代用するといいでしょう。利用伝票であっても、所定の項目が記載されていれば領収書の代わりとすることができます。

領収書とは何かについては、下記の記事で詳しく解説しています。

クレジットカード決済時に発行される利用伝票とは?

クレジットカードの利用伝票とは、クレジットカードで決済した際に、「お客様控え」や「利用明細書」などとして販売者が発行する書類を指し、「クレジットカードを利用した」ことを表すものです。販売者が金銭を受け取ったことを表す「レシート」や「領収書」とは性質が違います。

※書類自体には「クレジット売上票」と記載されていることが多いですが、この記事では「利用伝票」として説明していきます。

また、クレジットカード決済では、購入者と販売者に加えて、クレジットカード会社が仲介していることになります。販売者は、決済時点ではまだお金を受け取っておらず、信用取引のもとで領収書を発行することになるため、現金決済におけるその場で販売者が金銭を受け取ったことを表す領収書とは少し意味が異なっています

以下では、購入者側から、クレジットカードの利用伝票と領収書について説明していきます。

クレジットカードの利用伝票は「領収書」に当たるのか?

クレジットカードの利用伝票が領収書に該当するか、または領収書として代用できるかどうかは税法で異なります。
法人税と所得税には明確な規定がありませんが、消費税法上では、以下の内容が記載された利用伝票であれば、領収書として認められます。

「ご利用明細」等には、1その書類の作成者の氏名又は名称、2課税資産の譲渡等を行った年月日、3課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(当該課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)、4税率の異なるごとに区分して合計した課税資産の譲渡等の対価の額、5その書類の交付を受ける者の氏名又は名称が記載されていることが一般的であり、そのような書類であれば消費税法第30条第9項に規定する請求書等に該当する

引用:「カード会社からの請求明細書」|国税庁

補足として、利用伝票では上記の3項目めにあたる「購入した商品名やサービスの内容」が省略されている場合があるので、合わせて領収書をもらっておくことが大切です。

クレジットカード利用伝票の保管するべき期間とは?

個人事業主または法人は、帳簿と書類を確定申告書の提出期限の翌日から最大7年間保管することが原則です。領収書やクレジットカードの利用伝票も上記書類に該当するため、同様に保管する必要があります。

大切なこととしては紙での保管が原則とされており、利用伝票をスキャンし電子データとして保管する場合は、税務署での手続きが必要です。

なお、前々年分所得が300万円以下の方、白色申告の方は5年間の保管が必要です。

クレジットカード払いで収入印紙は必要なのか?

では、クレジットカード決済において収入印紙は必要となるのでしょうか。これは、印紙税法「売上金銭に係る金銭又は有価証券の受取書(17号文書)」(以下、印紙税法上の領収書)に該当するかで判断されます。

クレジットカードの利用伝票は、クレジットカードの利用を示す書類であって、金銭を受け取ったことを証明する書類ではありません。したがって、印紙税法上の領収書には該当せず、決済金額にかかわらず収入印紙は不要です。

次に、クレジットカード決済時に領収書を発行した場合はどうでしょう。
この場合の領収書は、「クレジットカードを利用した」かどうかがわかる記載の有無で変わります。

記載があれば、たとえ書類に「領収書」と書かれていても、印紙税法上の領収書には該当しません。その理由は、クレジットカード決済は信用取引であり、決済の場で金銭を受け取った事実がないためです。したがって印紙税法上の領収書に該当せず、収入印紙は不要となります。

なお、記載がない場合は、現金決済での領収書と変わらないため、印紙税法上の領収書に該当します。収入印紙については以下のように5万円未満かどうかで判断します。

領収書が発行されない時は利用伝票が代わりになる

クレジットカード決済時に領収書が発行されない場合、上述したとおり、要件を満たしていれば、消費税法上ではクレジットカードの利用伝票が領収書の代わりになります。

法人税と所得税においては、領収書として認められる要件が明確にあるわけではありません。しかし、消費税法上の要件を満たしていれば、断定はできませんが、領収書に該当する可能性が高いでしょう。

また、法人税と所得税では、利用伝票は商品やサービスを購入したことを証明する補完的な証拠になるため大切に保管しましょう。

クレジットカード会社の請求明細は領収書の代替にならない

最後に、クレジットカード会社からクレジットカード使用者へ送られる「請求明細」は領収書の代わりになるのでしょうか。国税庁による回答は以下のとおりです。

クレジットカード会社がそのカードの利用者に交付する請求明細書等は、そのカード利用者である事業者に対して課税資産の譲渡等を行った他の事業者が作成・交付した書類ではありませんから、消費税法第30条第9項に規定する請求書等には該当しません。

引用:「カード会社からの請求明細書」|国税庁

つまり、請求明細はクレジットカード使用者に対して商品やサービスを提供したお店が発行した書類ではないため、消費税法上の領収書とは認められないということです。ですが、実際に金銭を支払った証拠になるため、大切に保管しましょう。

クレジットカードの請求明細とインボイス制度

クレジットカードの請求明細は、商品や役務を提供した事業者自らが作成して交付するものではないため、消費税額の控除に係る請求書には該当しません。

クレジットカードによる代金の決済を受けた事業者は、一般的に以下のような情報を記載した請求明細を発行します。

  • 書類作成者の氏名や名称
  • 登録番号(※登録番号はインボイス制度開始後に記載が必要な項目です)
  • 取引の年月日
  • 商品やサービスの内容
  • 異なる税率ごとに区分された対価の額
  • 交付を受けた者の氏名や名称

上記のような記載がある請求明細は、消費税法に規定する請求書等に分類されます。仕入税額控除には事業者が直接発行した請求明細が必要ですので、保存が必要です。

なお、一部のクレジット会社では、カード利用明細書とは別にインボイス(適格請求書)を発行したり、利用明細書をインボイス制度の要件に対応した形式に変更したりするようです。受付方法などは、各クレジット会社にお問い合わせください。

電子メールなどインターネットを介して請求書等に該当する請求明細を受け取った時は、電子帳簿保存法の電子取引の対象になります。請求書の保存は紙では行わず、電子帳簿保存法に準じた電子保存が必要ですので、電子帳簿保存法についてもあわせて確認しておくとよいでしょう。

インボイス制度についてはこちらの記事で詳細を解説していますので、あわせてご覧ください。

参考:電子帳簿保存法一問一答(電子取引関係)問21

クレジットカード決済時にはレシートや領収書も受け取ろう

クレジットカード決済における利用伝票と領収書の関係などについて解説しました。クレジットカード決済時には、利用伝票はもちろんのこと、できればレシートや領収書をもらっておくことが無難でしょう。また、消費税の確定申告がある方は、消費税で認められる要件を満たす必要があります。

クレジットカード決済での販売者側による領収書の発行は任意です。発行する場合は「クレジットカードを利用した」との旨がわかるように領収書に記載すれば、収入印紙は不要となります。

よくある質問

クレジットカード決済時に発行される利用伝票とは?

クレジットカードで決済した際に「お客様控え」や「利用明細書」などとして販売者が発行する書類を指します。詳しくはこちらをご覧ください。

クレジットカードの利用伝票は領収書に当たるのか?

法人税と所得税には明確な規定がありませんが、消費税法上では次の内容が記載された利用伝票であれば領収書として認められます。詳しくはこちらをご覧ください。

クレジットカード会社の請求明細は領収書に当たるのか?

請求明細はクレジットカード使用者に対して商品やサービスを提供したお店が発行した書類ではないため、消費税法上の領収書とは認められません。詳しくはこちらをご覧ください。


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